

5.化学/生化学合成マイクロリアクターアレー
マイクロマシーニング技術を用いると,ビーカーや試験管に相当する反応器を
極微小に形成することが可能となる。
また,アレー化により同時に複数の反応を行うことが可能となる。
DNAの増幅に用いられる3つの温度ステップを繰り返す
PCR (Polymerase Chain Reaction) 反応などでは
マイクロ化による熱容量の低減が反応時間の短縮に極めて効果的となる。
我々は図5-1に構造図および図5-2に写真を示したシリコンウエハ上に異方性エッチングを用いて,
96個(8行x12列)のマイクロセルを形成し,
その裏側にTi薄膜ヒータと温度センサを形成し,温度のフィードバック制御を行う
マイクロ反応セルアレーを試作し,セル内温度分布を有限要素法CADにより解析した。
このマイクロリアクターセルアレーは8個の行ごとに共通のヒータと温度センサを持ち,
行ごとに温度を変化できる構造となっている。
PCR においては,塩基配列の違いにより効率の良い反応温度が異なることが知られているが,
この形状のマイクロ反応セルアレーにおり,最適温度での増幅が可能となる。
1セルの試料の量はわずか約6ml程度である。
図5-3に示した各マイクロセル構造の温度上昇の時間変化を同図のモデルにより解析した。
その結果図5-4のように室温から70℃までの温度上昇時間を6秒以内に抑えることが可能であり,
容器内の温度のばらつきは2%程度であることがわかった。
また,図5-5のように隣のセルに形成されたヒータの温度の影響などを解析によりもとめ,
最小の電力でマイクロセルアレーの温度分布を最適に制御する方法について検討した。
また,解析結果とサーモビューアを使った測定結果を比較し(図5-6),解析パラメータの最適化をはかっている。
このような構造により,反応の最適温度が異なる試料を同時に多数扱う
マイクロリアクターセルアレーが実現できた。

図5-1 8 x12 マイクロリアクターアレーの構造図

図5-2 8 x12 マイクロリアクターアレーのウエハ写真

図5-3 マイクロリアクターセルの構造および温度分布解析モデル

図5-4 マイクロリアクターセル内の温度分布過渡解析

図5-5 マイクロリアクターアレー(12列)の温度分布解析

図5-6 マイクロリアクターアレーの表面温度測定と解析−実測値比較
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